平成20年、町田市の武相荘に行く。
武相荘は白洲次郎の旧邸宅である。イギリスに留学した白洲はイギリス紳士が
田舎に隠棲するを理想とした「カントリージェントルマン」を目指した。
戦争で日本が負ける事を予想し、町田の片田舎へ自宅を作った。
武相荘は「武蔵と相模の真ん中」と「無愛想」という白洲の一流の洒落である。
地元の豪農の家を改築した。農作業にも従事した。
中は自由に見学できる。白洲次郎と正子の資料も展示。
家の入口。
見学者がいろり端で休んでいる。白洲次郎も妻正子とここで休んだのだろう。
ベントレー。白洲が父からプレゼントされた車。白洲の実家は神戸の
豊かな貿易商で、暴れん坊の白洲をイギリスへ留学生させた。
白洲次郎と愛車のセリカ。白洲は吉田首相に請われて
ＧＨＱの交渉をした。ＧＨＱに「従順ならざる唯一の日本人」と
言われ、英語の上手さをＧＨＱに言われると「君ももう少し
勉強すれば英語が上手くなるよ」と言った。天皇のプレゼントを
ぞんざいに扱ったマッカーサーに「恐れ多くも天皇陛下の品であるぞ」と
叱った話は有名。しかし、マッカーサーへは礼儀を尽くし、プレゼント
された椅子が展示されていた。戦争に負けた国の悲哀を経験し、
それでもしぶとく国家の為にＧＨＱと交渉した。ビックリしたのは
朱塗りの日本国憲法の原案が展示されていた事だ。
英語の天皇の「シンボル」を「象徴」と訳した。
日本で最初にジーパンを履いた男など多くの伝説がある。
日米平和条約締結時には吉田に日本語での演説を勧めた。
戦後は電力会社や沢山の会社の顧問を務め、日本の復興に
努めた。
家の中には妻の正子の部屋もあり、蔵書は能や歴史書など深い教養を感じた。
白洲正子は樺山男爵の孫で能や茶道、骨董品など多趣味であった。
美男美女のカップルである。
家の見学後、邸内を散策する。
庭にも仏像が置かれている。
邸内は驚くほど広い。深山幽谷の気分になる。畑もある。
イギリスの酒樽が置いてあった。
日本の民家なのに英国の邸宅を感じた。
白洲次郎と正子の生涯を感じた武相荘の旅であった。
